「Winny裁判」の件

判決が出てから色々考えてみたのですがやっぱり納得が行かないのです。


判決はソフト自体には中立性があるとしながらも、作者氏に「著作権違反幇助」の意図が
あったから有罪だと言うのです。
作者氏は「著作権違反幇助の意図は無い」、「著作権違反はしない様に呼びかけていた」
と主張しています。
前者はその様な発言は某匿名掲示板にあったものの、それが開発者氏のものだと実証する
ことは出来ていないし、後者のような呼びかけがあったのも事実なのです。
著作権違反幇助」の意図があったと断言するには証拠が無いような状況なのです。
例え「いかにもそうだろう」と思うものだとしてもです。


Winnyネットワークにおいて著作権違反のファイルが共有されている事は紛れも無い事実
ですが、これは「著作権違反のファイルをアップロードした人」が悪いのであって、
ソフトの作者が有罪になってしまうような事態は「理屈がおかしい」と思うのです。


これがまかり通ってしまうなら作者氏逮捕の時にも言われたように「包丁を売ったら殺人
幇助」だし、逮捕されてしまうかもしれないし、有罪になってしまうかもしれないのです。
ダイナマイトを発明したノーベルさんも「テロ幇助」で有罪かもしれません。
「爆薬が悪用される可能性があった事は明白」とか「彼は開発中から『安全に爆発させる
事が出来るようになった』とか『威力が高まり効果的に爆発させる事が出来るようになった』
と発言しており悪用された時に威力を発揮する事は解かっていた」とか言われてしまうのです。
世の中からは「爆薬なんてどう見ても悪用されるに決まっているじゃない」と見られてしまうのです。
「その意図は無かった」とか「そういう使われ方は想定していなかった」と言っても後の祭り
なのです。
いや、ホントに怖い。


しかし、Winnyが悪用されまくってる事に関して作者氏に責任の一端が無いとも言い切れない
し、作者氏に「無償で協力しろ」などと言うのであれば解かるのですが、作者氏を犯罪者に
してしまうのはなんか方向性が間違っているような気がします。
「何が問題なのか?」
「どうすれば解決の方向に向かうのか?」
考えるべきはこれであって、「誰が犯人か」では無いんじゃない?
開発者氏が悪い事になりました、しかしそれでWinnyに流れてしまっているファイルは
無くなるの?無くならないし、何の解決にもなっていない。
ただ単に振り上げた拳のぶつけ所が欲しかっただけで何の役にも立っていない。
スケープゴートを捕まえつつ、作者氏に技術的支援をしてもらってWinnyネットワークを
縮小させる方向の方が違法ファイルも減って著作権者や著作権保護団体も万々歳だと
思うのですが。
作者をスケープゴートにしてしまうのは効率が良い方法とは思えない。