8bitで月まで飛んだよ を考える

1939年 Atanasoff-Berry Computer/ABC、試作機完成、稼動
1946年 ENIAC、公開
1968年 アポロ8号、人類初の月軌道飛行
1968年 Apollo Guidance Computer(AGC)
1969年 アポロ11号、人類初の月着陸
1971年 Intel4004(世界初の商用マイクロプロセッサ)4bit MPU
1972年 Intel8008、8bit MPU
1974年 Intel8080
1975年 Z-80
1976年 NEC、TK-80発売


♪だけど昔の人は立派さ8bitで月まで飛んだよ
MOSAIC.WAVの曲「電気の恋人 I am Programmer's Song」の1節。
単に8bitと聞いて何を思い浮かべるかというと8bitCPUを思い浮かべるけど、
人類が初めて月着陸に成功した時点で現在のような1チップCPUは存在していない。


アポロ計画で使われたコンピュータはどのような物だったのだろうか?
参考:アポロ誘導コンピュータ(AGC)(Wikipedia)


アポロ誘導コンピュータ(AGC)の説明は専門用語だらけでさっぱりわからないが、黎明期
のコンピュータで今の物とは物差しで比較できない事は察せる。
チップ1つがCPUではなく、装置1式でやっとCPUに当たる事が出来るレベルであったと
考えた方が良い。(と言うかそうである)
当時も現在も宇宙船に搭載されるようなコンピュータは最新鋭の技術よりも少し前の
使い尽くされ信頼性・安全性を保てる枯れた技術の方が好まれる。


ここでCPUについてWikipediaで見てみる。
参考:CPU(Wikipedia)


CPUの説明とAGCの説明を見るとマイクロプロセッサを使用したCPUではなく、その前の
世代であるトランジスタ製CPUである事が察せる。
RTL(Resister Transistor Logic)と言われる抵抗、ダイオードトランジスタを集めて
作った論理回路でノイズに弱く、消費電力も大きく現在ではほぼ使われていない技術で、
実際、アポロ11号に載っていたAGCは故障し、マニュアルに切り替えている。


TTL(Transistor Transistor Logic)は今でも使われる*1けど、RTLなんて見た事も
使った事も無いよ。


本題に戻ろう。
結局のところ、8bitで月まで飛んだのか?
何が8bitであるのかによって答えは変わってしまうけど、現在との比較という観点から
考えれば「8bitどころの話じゃないよ!もっと低性能だよ!」というのが妥当な回答
かもしれない。



*1:74シリーズファミリとか