ニコニコ動画とMAD削除

MAD削除について、ある権利者側の人間の感想… - Life in Prison/生きるしかすることがないより

正直な所、「権利者により削除」が「権利者名○○によって削除」が一番イタイ。これじゃあ、MADの削除なんて出来ない。出来るとしたら、よっぽどファンの方向を向いていない会社だけ。悪意あるMADじゃない限りは、あえて削除して、善意のファンに嫌われるなんてのはまったく割にあわない。

今回、ニコニコ動画が「MADを含む未公認動画を削除する」という発表をして、すぐに指摘されていた
「あざとさ」だけど、ひろゆきは本当にこういう手法が得意だな。
考えたのはひろゆきだけじゃないのかもしれないけど、多分にひろゆき的思想を感じるやり方だ。
こういう発想は全体の本質を理解した上でないと出せない。


権利者が許可してないコンテンツを削除依頼するのは何故かと言うと大体こんな感じだと思う。
・金銭的被害を受ける可能性がある/金銭的被害を受けた
・原作内容に対して不利益なイメージが付く可能性がある
・権利者側内部から文句が出る可能性がある/文句が出た
・問題がある物と問題の無い物の線引きが難しい→だから全部排除
・そもそも許可してないので許せない


削除理由の多くが2番目から4番目が該当するんじゃないかと推測するけど、感覚としては
自分自身が悪いと思うより、他者より指摘される事を恐れての事例が多いんじゃないかと思う。

でもね、だからといってMADをOKとはこれまた絶対に言えない。無論、営業的には、善意のMADは多くのプラスの効果があることは分かっている。

動画共有サイトの問題で必ず反論として出てくる「プラス効果」。
これは権利者側も認知しているので都合の良い事を考えれば「『プラス効果』があるものは
残して、『マイナス効果』しか無いものは削除したい」という事になる。
だが、権利者側も一枚岩でない場合が多いので内部外部から「なんで放置しておくんだ!」
という指摘が出てくる場合がある。
こういう事態はめんどくさいので回避を考えればプラスの物を含めて削除するしかない。
こういう流れじゃないかと思う。


ただ、最初にあげた引用部分にもあるけど、削除という行為自体に反感を買う可能性がある。
ここが痛い。
で、ニコニコ動画はこの「痛い」という心理を利用した。


で、ニコニコ動画と権利者側がこれから考える道としてはこうなる。
・内外から文句を言われない形でコンテンツ監視をしたい
・『プラス効果』があるものは残して、『マイナス効果』しか無いものは削除したい
・削除は反感を買わない形にしたい


ニコニコ動画が描いている最終的なストーリーは、権利者側にニコニコ動画で公開されている
動画に対して「基本的に認める」と(MADみたいに権利的に難しい物も含めて)公認してもらい、
権利者側に不利益しかないような酷い物に関しては削除していく方向性だと思う。
ただ、それは難しい問題なのでとりあえず波紋が出るように一石投げてみた。


ニコ動はボールを投げた。
権利者側がそれをキャッチして投げ返せるのか、それとも受け取ったまま固まって身動きが
取れなくなるのか。
それともサッと避けて、痛さに目を背けて削除するのか。
これからの展開を見守りたいと思います。